皆様 明けましておめでとうございます
昨年は地球沸騰化という言葉が使われ始めました。今年も暑い夏が予想されます。小田原文化財団江之浦測候所では月の出る時刻に合わせて「満月の会」を催しています。西に陽が沈むと同時に東の空に満月は現れます。ここ江之浦では相模湾の水平線の上に満月が昇ります。特に酷暑の夏の日、背後の箱根外輪山に陽が沈む頃、一陣の風が海上を吹き渡り、その向こうに鈍色の月が姿を表す様は、例えようのない美しさです。それは神秘体験と申しても良いと思うほどです。皆様お誘いあわせの上ご来所下さい。
とは申しましても、満月が顔を出すかは月の気分次第でございます。雲間にちらりと顔を出す月も見ものです。朧月夜も良いものです。月もなく、雲天に闇が降るのを硝子舞台から眺めるのも風情と思えます。小雨のそぼ降る夕闇に、茶室「雨聴天」の路地を巡るというのも一興です。
今年はいよいよ満を持して「甘橘山美術館」の建設が着工されます。
開館予定は2 年後の秋。ご期待下さい。
令和六年正月
杉本博司