【ご挨拶】
人形浄瑠璃文楽に衝撃を与えてきた杉本文楽が今回挑むのは「女殺油地獄」。この近松の名作は、何と言っても “油まみれの凄惨な殺人”が印象に残ります。杉本文楽では、あえてその<殺し>のくだりにこだわり、人間国宝(芸術院会員)鶴澤清治の新作曲による「序曲」「下之巻・豊島屋」をお聴き頂きます。“刺いてはゑぐり抜いては切”の杉本博司演出で“油の地獄の苦しみ”をお届けします。究極の「見取り狂言」をお楽しみください。
※「見取り狂言」とは 演目の名場面だけを部分的に上演する形態。
『女殺油地獄』について
享保六年(一七二一)大坂竹本座初演。作者は近松門左衛門。油店河内屋の与兵衛は放蕩三昧、借金の返済に困り果てる。継父・徳兵衛と実母・お沢の心配も余所にして、豊島屋の女房お吉に返済の金を無心するが断られ逆上、お吉を殺しに及ぶ。油店の中、油にまみれながらお吉を殺す場面では、人形を手すり上にすべらせることで油を表現するなどの演出が施されている。
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